2020年2月19日水曜日

エルゴノミック Realforce を作ろう(6)トッププレート編

前回(3x4+1 キーパッド編)までは、どちらかというと、静電容量無接点スイッチの押下検出回路について書いてきた。そして、それも前回でひと段落したので、今回はトッププレートについての試行錯誤を書いてみる。


3x3 トッププレート


NiZ 製ハウジングに付いているトッププレートへの引っ掛かりのツメの高さは 1.5mm なのだけど、まぁ、1.6mm PCB でも何とかツメがかかったりしてくれないかな?と甘い期待をして、あまり深く考えず、1.6mm 厚の PCB で発注した。

ただ、多少でも厚みが出ないようにと思って、裏面は銅箔もレジストも無しにしてみた。こういう時は、「片面」の PCB を指定するようだ。いつも通りに「両面」設定で注文してしまっていたので、発注直後に pcbgogo からツッコミが入り、修正して注文し直した。

そして、届いた基板にハウジングを取り付けてみると、案の定、ツメが微妙なところでかからない・・・。

ハウジングの右手前の真ん中にあるツメが押し込まれていて出ていない

ハウジングをプレートに嵌めても、ぐにゅっと入るだけで、ツメがカチッとは言わない。

そこで、ツメがかかるところをヤスリで少しだけ削ってやると、かかるようにはなった。

ツメが出ている(レジストを削るのはいかにも残念だと思ったので、裏面のツメが当たるところを削ってみた)

トッププレートが厚くてツメがかからなくても、ハウジングの固定自体には支障は無い。だけど、キーを底打ちした時に、微妙にトッププレートに近過ぎるのか、打鍵感があまりよくない気がする。

また、低頭とは言え、ネジをハウジングのギリギリに寄せたのはまずかった。底打ち時にキーキャップがネジに当たってしまい、カチャカチャ音がすることがある。底打ちすると、キーキャップは結構下まで降りることが今さらながら分かった・・・。

ネジはハウジングギリギリに寄せたので、上から見ると、キーキャップとかぶっている

トッププレートを裏返すとこんな感じ(手持ちで写しているのは、そうしないと、ラバードームとバネがキーキャップに押されて浮いてしまうため)。

下段の紫ラバーが左下と右下のネジにかかってしまう

ラバードームがネジにかかっていて、ネジを締める時に挟み込んでしまう。。。そういう意味でも、ネジはキーキャップにかぶらない方が良い。

ちなみに、上段左の2個が NiZ のラバードームで、その右端と中段は Realforce、下段はその後買ってみた BKE のラバードーム(だけど、BKE のタクタイル感はあまり自分の好みではなかったので、最終版では使わないことにあっさりと決定・・・)。

あと、BKE のラバードームは、厚みが微妙に分厚いようだ。スペーサのサイズの選び方に違いが出てきそうだ。

BKE(紫)はピッタリだけど、Realforce(灰)と NiZ(乳白)は少し浮いている

また、しっかりとハウジングを固定するには、トッププレートの締め付けが大事なので、大きさ優先で M2 ネジにしていたけど、M2 では心許ない気がする。


3x3 での教訓


  • 1.6mm PCB は分厚すぎて、ハウジングのツメがかからない
  • ネジは低頭でもキーキャップにかぶらないようにすること
  • あと、M2 ネジでは固定が弱いかも


4x4トッププレート


そこで、4x4 キーパッドでは、ちょうど Realforce の中古品を手に入れたのもあり、

  • 1.2mm PCB
  • M3 ネジを使う
  • M3 ネジがキーに干渉しないように配置
  • NiZとTopre キーを半分ずつ

という仕様にした。ハウジングの穴の大きさは、NiZ が 14x14mm で、Topre が 14x14.6mm になっている。

左手前 2 列が 14x14mm の NiZ 用で、奥の右側 2 列が 14x14.6mm の Topre スイッチ用

1.2mm PCB だと、さすがにツメはかかる。ハウジングを嵌めると、早々にカチッと言うけど、スキマがあるので、少し動かすことができる。これもネジで締めれば、ハウジングの固定自体に問題はない。

ツメの下に少し(0.3mm)のスキマが出来ている

ネジもキーキャップから離したので、押下時にも干渉しない。

上面では、ネジはキーキャップから離れている

裏面でも、ネジはラバードームに干渉しない(ラバーは上段から NiZ, BKE Light, BKE Ultra Light, Realforce)

ネジは M3 にしたので、頑丈感もある。しかし、トッププレートと下の回路基板のネジ穴を、どちらも同じ φ3.2 にしておいたら、片方にネジを取り付けて、もう片方の板にはめこもうとすると、微妙にネジが引っかかる。どうやら、どちらも φ3.2 というのはギリギリ過ぎるようだ。少し遊びがあった方がよかった。

それとあと、横から見ると、微妙に PCB がたわんでいる気がする。真ん中あたりが膨らんでいるような?

微妙だけど、膨らんでいる?

正面から見ても、やはり真ん中辺りが膨らむようにたわんでいる気がする

4x4 ともなると、4 隅の 4 ヶ所のネジ止めだけでは足りないようだ。2 列に 1 つはネジを配置して、たわみが出ないように、しっかりと固定しておきたい。

最後に、3x3 でも 4x4 でも、トッププレートと回路基板の間に 5mm のスペーサを挟んでいたのだけど、これはちょっと高過ぎたようだ。ハウジングとラバードームの間にスキマが空いている。

ラバードームの厚みとスキマ
紫の BKE Ultra Light だとちょうどよさそうだけど、最終的には、右端の乳白色の NiZ を使おうと思っているので、もう少し低くした方がよさそうだ。


4x4 での教訓


  • トッププレートのネジ穴径は、回路基板と同じだと少し狭くて引っかかる
  • トッププレートのたわみを減らすために、ネジが多めに必要
  • スペーサの高さは、NiZ 製ラバードームには、5mm だと高過ぎる


3x4+1 トッププレート


上記の 4x4 の教訓をさらに踏まえ、3x4+1 キーパッドでは、

  • トッププレートのネジ穴は φ3.4 にする
  • ネジをなるべくたくさん配置する
  • スペーサは 4.5mm にして、0.2mm 厚や 0.3mm 厚のワッシャで調節する

という改善を入れた。

組み立ててみると、トッププレートのネジ穴を広げたので、ネジはすんなりと通った。

ネジ穴をたくさん用意したけど、とりあえず 6 カ所をネジ止め

とりあえず 4 隅と中程の 6 カ所をネジ止めして、横から見てみた。

若干のたわみもあるかもしれないけど、しっかりとした固定感がある

スペーサは 4.5mm に変えて、0.2mm のワッシャを一つ挟んでいる。これでちょうどよさそうだ。

また、今回は LED を付けるために、ラバードームを NiZ のもので統一している。トッププレートを裏返すとこうなっている。

回路を接続して右の基板の丸いところを指で触ると、タッチセンサとしても機能する

組み立てながら気づいたのは、スペーサは、まずトッププレートにネジで取り付けて、それから回路基板をネジで取り付けた方がよい。ラバードームと円錐バネは、上のようにトッププレートをひっくり返してハウジングに載せておき、その上へ回路基板を裏返して載せた状態で、最後にネジを取り付けた方が楽だからだ。なので、ネジ穴を広げておくのは、トッププレートではなくて、下の回路基板の方が適切だった。


3x4+1 での教訓


  • ネジ穴を φ3.4 にするのは、トッププレートではなくて、回路基板の方がよい


まとめ


では、最後に、今回得られた知見をまとめておきたい。

  • トッププレートの厚みについて、
    • 1.6mm PCB は分厚すぎて、ハウジングのツメがかからない
    • 1.2mm PCB だとスキマができるけど、ハウジングの固定に支障はない
  • ネジは低頭でもキーキャップにかぶらないようにすること
    • キーキャップはトッププレート直近まで降りてくる
  • ネジは M3 程度の大きさにして、ハウジングをしっかりと固定できるようにする
  • ネジ穴径は、ネジをトッププレート側に先に取り付ける前提で、以下のようにする
    • トッププレート: φ3.2
    • 回路基板: φ3.4
  • トッププレートのたわみを軽減するために、ネジはキーの 2~3 列/行に1つは欲しい
  • スペーサの高さは、NiZ 用には、4.5mm とし、0.2mm 厚のワッシャで調整する

ちなみに、3x4+1 トッププレートについては、この後 1.5mm 厚のアルミ板でも作ってみたので、また別途報告したい。





0 件のコメント:

コメントを投稿